IOLの強膜内固定

IOL強膜内固定術とは、眼内レンズの足(ループ)を強膜(白目の殻)に通して固定する方法です。Scleral Fixation of an IOL、略してSFIOL。

水晶体や嚢内固定された眼内レンズが脱臼した際に用います。縫合固定に代わってここ数年で急速に普及しました。

縫合固定だと術後に縫合糸が残り、晩発感染症の原因になることや、ループが毛様体に接触することによる出血、緑内障の危険がありました。SFIOLではそんな合併症が少なくなる可能性があります。

SFIOLにも色んな人がいろんな方法を発表していて、ホットな分野です。当院でもいろんな方法を試してみました。最もオーソドックスには、結膜を切開してメスでトンネルを作り、ループを差し込む方法があります(方法1)。トンネルの長さ、位置をコントロールしやすいので安心感があり、IOLの固定も良好です。

海外を中心に流行しているのが、横浜の山根真先生が考案したニードル法で、「Yamane Method」として有名です(方法2)。30G針でループを迎えに行く方法で、多少のコツが要りますが、結膜を切らないでもできる、硝子体の装置がなくともできるというのが特長で、白内障と硝子体の術者が分かれているアメリカで普及しているのも頷けます。

欠点はトンネルの作成がブラインドになることで、長さが十分でないと、術後にIOLが傾いたり、偏心したりする危険があります。

27Gの硝子体手術カニューラでトンネルを作る方法もあります(方法3)。この場合、27G鉗子でループを掴みだしますので、方法1に近い感覚で方法2の効果を出すことができます。硝子体手術に慣れた術者にとって最も簡単な方法です。ただ、細いループですので、30G針による山根法の方がIOLの固定が良好な感じがします。

山根法(方法2)は術後が美しくIOLの脱落の不安も少ないので、慣れが必要とはいえチャレンジする価値は大いにありです。

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