トーリックレンズの回転

トーリック眼内レンズとは、メガネと同じような乱視矯正が入った眼内レンズのことです。

乱視は円柱度数のことで、軸が大切です。メガネ合わせでも軸を慎重に合わせますが、眼内レンズとて同様です。

軸は角膜乱視の軸で取り、術前に角膜マップで測定するか、術中にサージカルケラトで測定します。

当院では前眼部OCTによるマップで軸を取っています。この場合、角膜前面のみならず、後面の屈折を加味した「全角膜乱視」を測定できるのが特徴で、ある意味、サージカルケラトよりも正確です。

外来で測定されたデータは手術室に設置されたモニター画面で映し、軸と結膜の血管との位置関係を利用して、マーキングを行います。CASIA2になってからこれが出来るようになりました。

しかし、実際の症例では、術中にきっちりと軸合わせが出来ていても、翌日の診察時にすでに少し回転し、乱視矯正効果が無くなっていることもしばしばです。

理論的には45°回転で効果がなくなり、それ以上から90°までだと逆に乱視が増えます。

帰宅後、眼圧が上がり、水晶体の袋が膨らみ、レンズが回転しやすくなると思われます。

これがトーリックレンズの悩みです。

回転して乱視矯正効果が無くなった場合、術後早期に軸をもとに戻し、乱視矯正効果を取り戻すことが出来ます。

強い近視の正乱視で回転が起こりやすいとされています。

ICL(有水晶体眼内レンズ)のトーリックレンズは術後に回転しませんが、回転させにくい分、術中の軸合わせが大変で、手術がより難しくなります。

ICLに比べトーリックIOLは合わせるのも修正するのも容易です。

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