豊穣の1820年代

このブログで何度か書いたことがありますが、私は作曲家のシューベルトが好きです。シューベルトは1797年に生まれ1828年に亡くなっていますから、わずか31年の人生でした。ベートーベンは1770〜1827、モーツァルトは1756〜1791。ベートーベンとは晩年の人生が重なっています。

シューベルトはこの短い期間に1000曲以上の作品を残しました。オペラや交響曲などを1曲と数えてですから、とんでもない仕事量だったことになります。ちなみにあのモーツァルトさえ600曲余り、ベートーベンは作品番号なしのものを加えても500曲くらいです。

ただ、その半数以上は20才までの習作期のもので、大人になってからの作品といえばドイチェ番号の600番以降になります。特に1820年代(23才以降)の作品群は古今東西の芸術の中でも突出した傑作が多いのです。

ピアノソナタでいえば14番以降の8曲。弦楽四重奏曲の12〜15番、弦楽五重奏曲、八重奏曲、交響曲8番「ザ グレート」、2曲のピアノトリオ、バイオリンのための幻想曲、3大連作歌曲集、多くのピアノ連弾曲などです。

試しに弦楽四重奏曲全集のCDを始めから順に聴いてみたら、後期の作品(12番以降)がそれまでといかに隔絶した名作かを理解できると思います。

メロスクヮルテットの名演がまだ廉価で購入可能です。

ちなみにベートーベンの16曲の弦楽四重奏曲のうち、12番〜16番が晩年の名作群とされており、上記シューベルトと番号が一致します。シューベルトは16番がありませんが、代わりに偉大なる弦楽五重奏曲ハ長調があるのでこれを16番とした上での話です。

しかも、これらの弦楽作品が、作曲家は違え、いずれも1820年代に出来ているのです。すごい発見ですね。豊穣の1820年代。

メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲、ロンドカプリチオーソ、ベートーベンのピアノソナタ30〜32番、ディアベリ変奏曲、「合唱」交響曲ショパンの練習曲作品10、すべて1820年代の作品です!

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