トラベクレクトミー

トラベクレクトミーは濾過手術とも呼ばれ、前房水を結膜下へ漏出させることにより眼圧を下げる効果を狙った手術です。

エクスプレスというデバイスを用いますと手術は比較的簡単に見えますが、細かいところで関門がいくつもありますので、安定した成績を出すのは難しい手術の一つです。

関門1ー過剰濾過  房水が出すぎて、眼圧が下がりすぎる場合です。眼圧が下がりすぎると脈絡膜剥離が生じて、視力が低下します。縫合追加の再手術が必要です。

関門2ーブレブ形成不全  濾過量が足りず、眼圧下降が見られない場合です。早期にレーザー切糸を行い、漏出量を確保します。

関門3ー前房水漏出  結膜下から房水が眼外へ漏れ出る状態です。放置すると感染の恐れがありますので、早期に縫合追加などの処置が必要です。

関門4ーブレブ消失  術後経過を経るうちに濾過胞が小さくなり、ついには消失して、眼圧下降の効果がなくなることがあります。再手術、ニードリングなどが必要です。

過剰濾過を避けるため、比較的しっかりと縫合したのちに、レーザー切糸で濾過胞を作るのが良いとされています。最終的に「適度」の縫合不全が求められるわけで、きちんと創を作り縫う訓練を受けている手術医にとっては難しいことが多いのです。

トラベクレクトミーは緑内障手術の切り札ですので、この手術の良し悪しが経過を左右することになりかねません。この4月から前眼部OCT検査および前房水漏出検査が保険収載され、手術の後押しをしてくれるようになったのは緑内障患者さんにとって朗報です。

ST