熱情ソナタ

いつだったか月光ソナタについて書いたことがありますので、今日は熱情ソナタについてです。月光ソナタクラシック音楽史上革命的な作品で、今なお絶大な人気を保っています。熱情ソナタの人気はそれほどではありませんが、作曲者自身は最も偉大なピアノソナタと考えていました。

 

作品番号57といえば中期の真っ只中。47のクロイツェルソナタに始まり、53のワルトシュタインソナタ、55の英雄交響曲、58のピアノ協奏曲4番、そして59のラズモフスキークヮルテット(3曲)と続く傑作群の真っ只中にあります。

 

題名の由来はもちろん作曲者の意図ではありません。連弾用に編曲した楽譜が出版された際に「Sonata Appassionata」と題名をつけられたのが最初とされています。その後リスト編の全曲楽譜でもこの名前が踏襲されていることから、作曲された直後よりこの名前で知られるようになったようです。

 

リスト編の全曲楽譜は日本の全音楽譜出版社から出ています。ベートーベンのソナタを演奏会で大々的に取り上げた最初のピアニストがリストであり、月光ソナタ、葬送ソナタ、熱情ソナタ、ハンマークラビアソナタなどを実際に演奏した記録があります。

 

リスト編の楽譜は、初版や自筆譜に近く、今のベーレンライター原典版のようです。この辺りがベートーベン演奏の原点であることを考えると、実に興味深いです。

 

その後、ビューロー、ライネッケ、ラモンド、カゼッラ、シュナーベル、トーヴィー、アラウなどの実用版が出て、演奏法が発展しました。

 

ベートーベン→チェルニー→リスト→ビューロー→ラモンド、クラウゼ→バックハウス、ケンプ、アラウなどと続きます。

 

最後の3人は実際にCDで聴けます。

 

ポリーニアシュケナージブレンデルなどにはない、ベートーベン演奏の伝統を感じる事ができます。

 

熱情ソナタの演奏では、3楽章が最も難しいですが、指使いを工夫することによりなんとかなります。ビューロー(トーヴィー)、シュナーベル、アラウとそれぞれ異なった方法を提示していますので、自分に合った方法を探すことをお勧めします。

 

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