クロイツェルソナタ

眼科医仲間のH先生のバイオリン伴奏を時々いたします。彼が研修医のころから、すなわちかれこれ35年間の付き合いですが、彼も開業した数年前からまた定期的に来られるようになりました。

最近ではブラームスソナタ、フランクのソナタシューベルトの幻想曲をさらった後、いよいよベートーベンのクロイツェルソナタ(作品47)に取り組んでいます。

ベートーベンの10曲あるバイオリンソナタのうち最高傑作であるばかりか、古今東西のバイオリンソナタ中の最高峰とも目される作品です。ベートーベンはまずバイオリンソナタを書いた後、ピアノソナタに移り、そして弦楽四重奏曲に至るという順番があるようで、もっとも円熟した中期の初頭を飾る作品です。

この後ピアノソナタでは孤高のワルトシュタインソナタ(作品53)と熱情ソナタ(作品57)の後、ラズモフスキー四重奏曲(作品59−1、2、3)を作曲します。目も眩むような作品群ですね。

CDやLPでもたくさんの演奏を聴いてきました。全集としてまとまっているだけでも10種類以上は所蔵しています。その中でのベストスリーは、

3)シュナイダーハン(Vn)ケンプ(pf)の演奏。これはケンプにとって最初の演奏で、のちにステレオでメニューインとも録音しています。バイオリンはこちらも捨てがたいのですが、ケンプのピアノはやはり若い頃の方が良いですね。若いと言っても60歳くらいの頃です。ケンプは20世紀のピアニストのうち最高の一人で、いわば20世紀のブゾーニと言えましょう。

2)グリュミオー(Vn)ハスキル(pf)の演奏。こちらも最高に芸術的なハスキルのピアノが聴きものです。1楽章の第二主題でテンポを落として入っていくハスキルの芸術性に脱帽です。ハスキルコルトーの弟子で、20世紀最高の女流ピアニスト。

そして第一位は、

1)シゲティ(Vn)アラウ(pf)の共演。アラウにとって唯一のクロイツェルはシゲティという最高の相手に恵まれました。(アラウはのちにグリュミオーと組んでベートーベンのバイオリンソナタを録音したのですが、残念ながらクロイツェルは含まれませんでした。)シゲティとの演奏は米国会図書館で行われたライブで、CDで残っているのが奇跡と言えましょう。もちろんモノラルですが音質もなかなか良好です。アラウはケンプと並んで20世紀最高のベートーベン演奏家ですから悪いはずがありません。ライブにもかかわらず全く瑕疵のない演奏で、二人の実力がよくわかります。アラウのテクニックは最高です(Very best! Even better than Horowitz.)。まあ、こんな演奏は自分にとって参考にはなりませんが。。。

アラウに比べると、バレン○○○やアシュケ○○○が学生のようです。
ST