楽譜

一昨年くらいに、診療所の前の四ツ橋筋沿いにYAMAHA心斎橋店がオープンしましたので、時々ぶらっと出かけることがあります。主に楽譜の探索のためです。

楽譜は英語ではmusicともscoreとも言いますが、ラジオやCDがなかった頃は音楽そのものでしたでしょう。いろんな楽譜を見たり買ったりするのが楽しみです。

古典的な作曲家の楽譜は大抵ネットでただで手に入ります。贅沢を言わなければこれで十分ともおもえますので、昔に比べて楽譜の購入者は減っているのでしょう。同じ楽譜でも値段がとても高くなっています。30年前の10倍くらいになっているものもあります。

ピアノ曲の楽譜は楽譜たてにおいて見ながらピアノを弾くというのが基本の使い方です。もちろん、目視してそのまま見ないで弾くとか、何度も弾いているうちに暗記してしまうとかありますが(play from memory)、大抵は視弾(play from sight)です。

そのため、大きくて見やすいこと、ページが開けやすいこと、適切な指使いが書いてあること、譜めくりがし易いことなどが、楽譜選びの基準です。もちろん、作曲者が考えた通りの音符である必要もありますが、もともとの手書きの楽譜は前記の特長がありませんので、そこらが編集者の腕の見せ所となるわけです。

最も大切なショパンの楽譜では、総合的に判断して、エキエル版とヘンレ版が双璧と思います。

使いやすさを基準にすれば、ヘンレ版に軍配が上がります。

目の前で使用するのはヘンレ、じっくりと譜読みをするのはエキエルといったところでしょうか。

シューベルトではウィーン原典版とヘンレ、シューマンではブライトコプフとヘンレが双璧ですから、ヘンレの充実ぶりがわかります。

日本の出版社の楽譜は安いですが、残念ながらあまりお薦めできないものが多いようです。特に、製本のせいで開けにくく、視弾がしにくいのはなんとかならないものかと思っています。その点、歴史のあるペータース、ブライトコプフ、ヘンレ、シャーマーなどはさすがですね。

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