網膜剥離

春と秋、気温の変化の激しい季節に網膜剥離がよく起こります。気温の変化で硝子体が伸び縮みし、網膜を引っ張って裂孔が出来やすいとされています。

硝子体手術をしますと、裂孔の周辺部は必ず硝子体が癒着しており、後極部側には硝子体がありません。剥離した硝子体の牽引により孔が開いて、網膜もひっぱられ、剥離に進展することがよくわかります。

治療はその原因を取り除くべく、硝子体を可能な限り取り除き、裂孔の回りをレーザーで凝固し、眼内をガスで満たすことにより復位させます。

25〜27ゲージの硝子体カッターが導入され、網膜を傷つけることなく硝子体を切除出来るようになり、網膜剥離の大半を硝子体手術で治すようになりました(ノーバックル)。

広角観察装置とシャンデリア照明も必須です。

水晶体を温存し、既存裂孔からの排液が可能ならば、網膜剥離の手術もそれほど時間がかかりません。

古い剥離では増殖膜を伴っている場合があり、ピーリングを同時に行なう場合もあります。また、バックルやシリコンタンポナーデを要する重症例もあります。

硝子体がしっかり残っている若年者の網膜剥離にはバックル単独手術を行なうこともありますので、バックル手術が全くなくなった訳ではありません。その場合は冷凍凝固を行ないます。

しかし、硝子体が液化している大半の症例ではなるべく冷凍凝固を避けることにより、PVR(再手術の原因となる眼内の増殖変化)の発生率が下がります。

副院長と手分けして、この2週間で4例の網膜剥離手術(硝子体手術)を行いました。

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