網膜剥離の日帰り手術

最近読んだ学術雑誌によりますと、網膜剥離の手術はバックル、硝子体手術、気体注入法と3種、あるいはこれらのコンビネーションがあり、それぞれ適応と限界が異なるものの、それなりによい成績だとのこと。つまり、白内障手術がほぼ100%超音波摘出になったのに比較して、まだまだ多様な方法が受容されているということです。

このうち最後の「気体注入法」というのは、日本で1985年頃にEmi先生により開発されたものですが、同時に海外でも「日帰りの気体注入法」として発表されたせいか、日帰りが基本の海外では未だに行なわれているようです。

バックルは若い人に発症する丈の低い剥離=硝子体がしっかり残っている症例では単独で行なわれる他、硝子体手術と併用しても用いられることがあります。

硝子体手術については、バックルの有無、水晶体摘出の有無、タンポナーデはガスかシリコンか、など、最低2×2×2=8通りのバリエーションがあり得ます。

先日お会いした40代の先生方のご意見では、「硝子体手術ではバックルは不要」とのことでした。硝子体を丹念に切除し、網膜をフラフラにしておけば、ガスのみでくっつけることができるというのは、理屈では判りますが、術後の安静、厳格な体位の保持が必要で、なかなか理論通りに行かないこともあります。

再剥離は即増殖変化(PVR)につながるのでとても危険です。

日帰りのセッティングで術後管理を厳格にしなくても確実に治すことができる方法は、エンサークリングバックル+シリコンでしょう。この場合、1ヶ月後にもう一度手術をしてシリコンを抜く必要がありますが、「入院不要」「厳格な体位保持不要」という良さを考えると、一考の余地があります。

中高年の剥離では、上1/3象限に限局した裂孔の場合硝子体手術+ガス(ノーバックル)、それ以外では硝子体手術+エンサークリング+シリコンという二者択一が無難と思っています。

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