ILM ピーリング

今週も月曜日は硝子体手術など、火曜、水曜、木曜は白内障手術と、フルに手術が予定されました。

硝子体手術では、黄斑前膜の除去(ピーリング)を行い、白内障手術を併用しました。極薄い黄斑前膜(ILM、内境界膜の肥厚)は高齢者ではよくみかけます。白内障の術前にOCT検査をしますと、10例に1例くらいの割合で発見できます。このすべてを取り去る必要は毛頭ありませんが、視力低下や変視症(物が歪んで見える)などの症状があれば手術の適応になってきます。

10年くらい前に、網膜を染色してピーリングする技術が開発され、一般に普及いたしました。最初はなかなか難しい感じがしたものですが、適切な鉗子を用いることにより、網膜のダメージを最小限にしつつILMをはがすことが出来るようになりました。

黄斑窩から2乳頭径くらい離れた耳側でタッチするようにして、術後に暗点を自覚しないようにします。

本日、火曜日は午後から大体白内障手術を20件行なっています。時間にして3時間、手術し続けており、体力的にもかなりきついですが、手術となると集中しているからか、疲れを感じません。アドレナリンやエンドルフィンが出ているのでしょう。

大学卒業後研修の一年目は外科を専攻しましたが、当時の食道がんなどの手術は一日中ということもざらで、長い手術におつきあいするのに慣れてしまったのです。

おかげで、この年齢になっても、長い手術がそれほど苦痛ではありません。

ST