モーツァルトのピアノ協奏曲

今年の夏頃、いつも使っている楽譜屋さんが半額セールをしていたので、思い切ってたくさんの楽譜を買いました。目玉はモーツァルトのピアノ協奏曲です。

モーツァルトのピアノ協奏曲は27曲あります。このうち、最初の4曲は少年時代に父親に書かされた編曲ものですので、オリジナルの曲は23曲ですが、7番は3台のピアノのための協奏曲、10番は2台のためということで、この2曲も除きますと、ソロピアノとオーケストラのための協奏曲は21曲ということになります。

短調の2曲を含む、20番台の曲が有名ですが、その他の時代にも良いものがたくさんあります。まず、12番のイ長調。この曲は23番の同じキーの名曲と雰囲気が良く似ていますが、より内向的で、平易な割に中身の濃い曲です。ついで13番のハ長調。こちらも、モーツァルトらしさ満開というか、第二主題の美しさは言語に絶します。

26番は晩年の曲で、金銭に困って27番ともども作曲したとか。王族の戴冠式のために作曲されましたが、こちらは未完成で、実際に弾かれたのは19番だったそうです。しかしながら、この26番は晩年にバッハに傾倒していた影響か、対位法的な旋律や不協和音などがあり、とても魅力的なのです。

21番はモーツァルトのピアニストとしての技量を発揮した、技巧的な作品です。美しいだけでなく、練習曲としても優れた楽曲です。また、2楽章は映画などでもよく使われる有名曲です。

そして、最高傑作は、なんといっても22番と考えます。ピアノの技巧的にも満全で、2楽章も美しく、3楽章の入りがとても魅力的です。ベートーベンの「皇帝」に匹敵する壮大な名曲と言えましょう。調性も同じ変ホ長調です。

ちなみに、すべて、1楽章と3楽章の終わり近くやその他の部分でカデンツァがあります。モーツァルト自身のものや、ベートーベンのもの(20番)、その他、いろいろな作曲家や演奏家自身がカデンツァを作曲しています。

興に乗って、自分で適当にカデンツァを作って弾くのもまた楽しいです。

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