前眼部OCT検査

今日はお昼から白内障手術を21例行ないました。うち、3例で多焦点IOLを使用しました。うち1例はリストアトーリックで、乱視矯正を兼ねた多焦点IOLでした。

多焦点IOLでは、術後に「メガネなし」の裸眼での視力が期待されますので、屈折誤差があると興ざめです。とはいえ、誤差をゼロにすることはできません。ということで、乱視矯正を追加したリストアは術前乱視が強めの症例に向いています。

ただし、このレンズを使っても、軸が狂っては乱視が矯正されないばかりか、かえって増えることもあり得ます。その意味で、使用が難しく、神経を使わされるレンズです。

多焦点使用例では、術後に乱視を±1.0Dにするのが理想とはよく言われます。ということは、術前乱視1.5Dでもトーリックを使うべしということですが、このあたりの矯正が実は最も難しいのです。

その理由として、最近、角膜後面の屈折(乱視)が注目されています。角膜後面の屈折は値そのものは大きくありません。というのも、角膜と房水の屈折率があまり変わらないからです。しかし、症例によっては〜0.5Dの乱視が角膜後面に存在します。±1.0Dにおさめるためには無視しえない値です。

ということで、当院では、角膜後面の屈折を入れた「real K」を算定し、乱視度数の決定に使っています。real Kをアルコンのカルキュレーターに代入し、IOLの乱視度数を決めるのです。

しかし、このカルキュレーターがくせ者で、「最適乱視度数」として、0.25Dの過矯正を見込んでいるほか、切開惹起乱視も過大評価されています。よって、耳側切開の場合正乱視で、上強膜切開の場合倒乱視で過矯正になる可能性大です。注意が必要です。

real Kを測定するのには、前眼部OCTカシアを用います。この検査は現在、高度先進医療に入っており、公的保険と自費診療の併用が行なえます。前眼部OCTは屈折矯正手術では必須の検査です。

当院では3000円の自費診療となります。

ST