リストア トーリック

今日はお昼から白内障手術で、3例に多焦点眼内レンズ、リストア(アルコン社)を使いました。うち一例はリストア トーリックという、乱視矯正の入ったレンズでした。

多焦点IOLでは術後に屈折異常がないことが理想です(正視)。といいますのも、メガネ、コンタクトなしの裸眼で生活するには、屈折異常があっては困るからです。

現在のIOLの精度、検査精度では、術後の屈折異常をゼロにすることはできません。しかし、±0.5D(ディオプター)以内でないと、裸眼視力が確実に低下します。術後の裸眼視力とは、いわば「掛け」のようなもので、何例かに一例は必ずこの範囲からはずれることが避けられません。

そのため、「術後にLASIKによる矯正が必要な場合があります」ということは、多焦点IOLの患者さんには必ず術前に申し上げるようにしています。

このような屈折誤差をなるべく少なくするため、乱視矯正が入っているのはいわば必然といえましょう。昨年から導入され、人気のレンティス(ドイツ製)は、乱視矯正が入っているから視力が出やすいと考えられます。

アルコン リストアでも、この春からようやく乱視矯正(トーリック)ができるようになりました。

ただし、このレンズは手術中に乱視の軸をきっちりと合わせなければなりません。軸が狂うと乱視が矯正されないばかりか、かえって増えることもあるからです。

トーリックレンズの軸決め、および度数決定はしたがってとても重要です。当院では術前の前眼部OCT所見から、角膜前面、後面のトータルの角膜度数を調べ(real K)、トーリックの度数を推量することにしています。これは理論的にもっとも信頼できる方法です。

軸決めは虹彩紋理からの写真判定法で行っています。


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