DM性硝子体出血の治療

昨日はDMの出血に対する硝子体手術を行い、今日はお昼から白内障手術を21件行いました。

DMの硝子体出血はよくみかける病態で、昔はほぼ全例が手術ということでしたが、今や抗VEGF抗体薬があり、欧米では手術の適応が制限されてきています。実際、初期の網膜新生血管や反復する軽度の硝子体出血は、VEFによりよく治ります。

しかし、広範囲に無血管帯があり、視力が著しく低下している症例では、やはり硝子体手術に向かってしまいます。

ところが、若年で新生血管が広範囲のDMの手術は簡単ではありません。大抵、視神経、血管の一部、赤道部網膜を支点とする硝子体膜が形成されており、牽引により容易に網膜裂孔ができてしまいます。手術の最中に網膜が剥離してくるといったことも、昔はよく経験しました。そうなると、最終的にはシリコンタンポナーデということになり、視力予後も悪くなります。

最近の25Gカッターは安全によく切れるとはいえ、周辺部の網膜を牽引することなく全周の膜を食べ尽くすのは結構時間がかかりますし、神経も遣います。

比較して、抗VEGF薬の注射ははるかに簡単で、かつ安全ということになります。DMによる増殖性網膜症がお薬で治る時代が来るとは、とても想像できませんでした。

ST