最近のレーシック

当院では近視矯正手術レーシックを導入して14年経ちました。その間、手術そのものは進歩を続けており、導入当初にくらべ、安全性や矯正精度の面で現在のほうがはるかに優れています。また、手術を受けていただいた患者さんの満足度も高いです。しかし、当初予想されていたほどの症例数の増加は見られません。

理由はいくつか考えられます。まず、この手術では「視力を上げる」と言っても、「遠くがよく見えるようになる」ということで、「視機能がアップする」ということではありません。そのあたりの誤解がなくなり、本当に必要とする人だけが受けるように変わって来たということが考えられます。

次に、カラーコンタクトの登場が挙げられます。メガネが嫌で美容目的でレーシックを考えた方が、近視矯正と美容の一挙両得とも言えるカラコンに流れたということです。

ついで、すでにレーシックを受けて満足が得られなかった患者さんのご意見がネット空間で肥大化し、新たな患者さんの意思決定に影響を及ぼしていることが考えられます。眼科医から見ると、白内障手術や硝子体手術にくらべ、レーシックは器械に頼る部分が大きい分、安全かつ確実であり、ストレスが少ない訳ですが、患者さんの視点は異なるようです。

最後に、レーシックに代わる屈折矯正手術が登場してきたことも影響しているでしょう。たとえば、水晶体を残したままで眼内レンズを挿入する「有水晶体眼内レンズ」もその一つです。

先日、20才前後で度数が−3D程度の軽度近視の方が来られました。角膜形状の異常なく、厚みも十分だったので「レーシックの適応です」と申し上げたところ、「レーシックは恐いのでICLは出来ないですか?」といわれ、驚いたことがありました。

確かにICLでも治せますが、レーシックの適応がある方に有水晶体眼内レンズをお薦めすることはありません。中等度以下の近視、乱視の手術では、今なお、レーシックや類似の手術(LASEK、i-LASIK、Relexなど)が世界的標準だからです。

有水晶体眼内レンズはあくまでも、レーシックが不適応となるほどの高度の近視に対する手術であることは、ご理解いただきたいと思います。

40才以下、角膜形状異常なし、矯正視力良好、術後の角膜厚が400μ以上あり、メガネが嫌、コンタクトが嫌という条件が全て当てはまる方は、是非、レーシックをご検討ください。

カラコンはレーシックのあとでも使えますよ。

ST