LRI

今日もお昼から白内障手術が行われました。合計20例のうち、3例で多焦点眼内レンズを使いました。うち一例は乱視がやや強かったので、LRI(乱視矯正輪部減張切開)を併用いたしました。

LRIは乱視軽減に有効ですが、軸ズレをおこすとほとんど効果がなく、かえって不正乱視を増やしてしまうことがありますので、軸決めはとても慎重に行う必要があります。白内障手術と同時に行うのは、その点、やや無理があると思います。

軸決めはいろいろな方法があり、決定的なものはありませんが、簡便かつ正確な方法の一つとして、虹彩紋理を利用する方法があります。LASIKでエキシマレーザーを照射する際、器械が自動的に行っている方法です。

前眼部OCTにより、虹彩の撮影と角膜乱視の測定を同一画面で行えますので、これをプリントアウトしておき、患者さんの眼と合わせて、軸決めを行います。ただ一つの欠点は、白内障手術時の散瞳下では行えないことです。そこで、LRIや切開の位置決め(マーキング)は白内障手術の数日前に、無散瞳で行っておきます。

倒乱視(強主経線が水平方向)では、耳側切開をやや大きくとり、鼻側にLRIの切開を置きます。直乱視では下方にLRIを行い、上側強膜切開を乱視の大きさに合わせて大きく作ります。

3D以下の(角膜)乱視ならば、大体この方法で矯正が可能です。

しかし、術後にメガネが必要な、一般の単焦点レンズの場合は、LRIを行いません。乱視はどのみちメガネで矯正できるからです。

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