高度近視の片眼白内障

今週は予定手術をお休みしていますが、昨日は感染性角膜潰瘍穿孔に対して緊急手術を行いました。

最近、とある眼科様からご紹介いただいた患者さんは、40才くらいの片眼の白内障で、屈折度数が両眼とも−10D程度の近視でした。良い方の目に白内障はありません。

この患者さんの紹介状に「白内障手術を行わない良い方の目については、坪井先生とよく相談するように、(患者さんには)説明してあります」との文章があり、ちょっと感動いたしました。

白内障手術では、混濁を取り、視力を回復させるだけではなく、屈折状態を改善させることも出来ます。近視や遠視、乱視などの屈折異常を残すよりは、なるべく少なくするほうが、術後のQOLがずっと良くなります。多焦点レンズやモノビジョンで老眼をも克服しようとしている時代に、白内障が片眼だからといって、高度近視を残してしまうことは、出来れば避けたいところです。

この患者さんの場合、ご紹介いただいた先生からすでにそのような説明を受けておられましたので、まことにスムーズに、患者さんにとって最善の治療方法をご説明することができました。

白内障の無い方の目は−10Dで、角膜厚が480μ、ということで、LASIKの適応はありません。そこで、すこし費用がかかるものの、矯正効果は抜群のICLをお勧めいたしました。前房深度は3mmと深く、角膜乱視もほとんどありませんので、ICLは問題なく挿入が可能です。

同じ週に、白内障手術(眼内レンズ挿入術)と健眼のICL挿入術を連日で行う予定を立てました。

白内障手術で多焦点IOLを使用することも出来ますが、こちらの狙いをやや近視よりにし、最終的にモノビジョンとすることにより、普通の単焦点レンズでも、術後、メガネなしでの生活が期待できるでしょう。


ST