iPS細胞の臨床研究

加齢黄斑変性症の治療にiPS細胞が臨床応用されるというニュースが今年発表されてから、外来でも時々患者さんから「私はiPSで治りませんか??」という質問を受けておりました。
先日ついにその概要が発表され、今日から臨床研究に参加を希望する患者さん(6名)の募集が始まりました。
適応基準としては、
・滲出型の加齢黄斑変性
・50歳以上
・視力は手動弁以上、0.3未満
・既存の治療に抵抗性
 (目安としてはルセンティス硝子体注射を4回以上繰り返しても再発する)
などとのことです。また、全身状態が芳しくない場合などには適応外となります。
すべての基準を満たしていれば、紹介状を持参して神戸の先進医療センターの眼科を受診していただくことになります。

(図:理化学研究所の発表より)
かなり厳格な基準なので、今まで質問された患者さんの中には残念ながら適応となるような方はおられませんでした。(そもそも募集が6名という時点で選ばれる可能性は極めて低いですが..)
ちなみに、世間一般ではみな恐ろしいくらいに治療効果を期待しておられますが、研究の第一段階は安全性の確認です。「 本研究の主な目的は安全性の確認であり、大幅な視力改善といった顕著な治療効果を期待するものではありません。」と明記されており、安全性の追跡調査だけでも何年も要しますので、本格的な臨床応用はまだまだ先ということになります。
そうは言いつつも...
期待しすぎても良くないということは私も頭では分かっているのですが、それでも心の中では未来の治療に対していろんな期待を抱かずにはいられませんネ。
Ft